Blog

新規プロジェクトでの行き詰まりを打破する、プロトタイピングの薦め。ミラノデザインウィーク出展プロジェクトから示す、プロトタイピングの2点の効果。

2020.4.19

新規事業や企画などのプロジェクトを推進していると、当初思い描いていたようにいかず、行き詰まりを感じることがあるのではないでしょうか。そんなときには、プロジェクトを一歩前に進めるために、プロトタイピングを実施しましょう。

ミラノデザインウィークに出展した24回のプロトタイピングを実施したプロジェクトについて、先行研究によるプロトタイピングの分類と、「アイデアの創造」から「生産、市場投入」までの開発プロセスで分類し、以下のようにマッピングしました。

開発プロセスとプロトタイピングの分類による実施プロトタイプマッピング図
開発プロセスとプロトタイピングの分類による実施プロトタイプマッピング図



分析して判明したプロトタイピングの効果

以上のマッピング図を分析した結果、

1.プロトタイピングは、開発中のソリューションの調整が必要な領域を理解させ、開発プロセスを進行させる

2.ダークホースプロトタイピングは開発プロセスの停滞から抜け出させ、進行させる

という2つの効果が明らかになりました。

1つ目の効果は、プロトタイピングを実施することで、気づけていなかった問題点や課題点が明らかになり、解決に繋がり、プロジェクトを前に進めることができるというもの。

2つ目の効果内に記載がある、「ダークホースプロトタイピング」とは、実行するのが難しい、もしくはリスクが高すぎるために以前考えたけれども却下したものや、まったく試したことがないアプローチにトライするプロトタイピングです。このプロトタイピングを実施することで、いままで得られなかった気づきを得て、プロジェクトを前に進めることができるという効果です。
(ダークホースプロトタイピングについての詳細は、別記事のこちらをご参照ください)


分析対象のプロジェクトとプロトタイピング

分析したプロジェクトは、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の一員として、ミラノデザインウィークに出展したプロジェクトを対象としています。
(本プロジェクトについての詳細は、別記事のこちら内「ミラノデザインウィークの出展概要」をご参照ください)

このプロジェクトで実施した、全24回のプロトタイピングが今回の分析の対象です。

実施プロトタイピング抜粋
実施プロトタイピング抜粋


制作したプロトタイピングは、上記のようにGoogle スライドや消しゴム、100円均一ショップで購入した鏡など、すぐに利用可能なものを活用して、荒くても良いので早くつくることを第一目的としています。この荒くても良いので早くつくるアプローチで最終パフォーマンスが向上することは、先行研究においても示されています。

・粗く、速く、そして安価な低忠実度プロトタイプは、詳細かつ完成度が高い機能を持つ高忠実度プロトタイプと同じくらい有用である(*1)。

・実証研究で、より成功したチームがより早く、そしてプロセス全体を通してより頻繁にプロトタイプを作成する(*2)


このように、新規事業や企画などで行き詰まりを感じたら、荒くても良いので早くプロトタイプをつくりましょう。それにより、気づけていなかった問題点や課題点が明らかになる、いままで得られなかった気づきを得るなどの効果が得られ、プロジェクトを前に進めることができるでしょう。


[1] Holmlid, S. and Evenson, S. (2007) Prototyping and enacting services: Lessons learned from human- centered methods, Proceedings from the 10th Quality in Services conference, QUIS, Vol. 10. [2] Jang, J., Schunn, C. D., 2012, “Physical Design Tools Support and Hinder Innovative Engineering Design”, Journal of Mechanical Design, 134 (April)

Contact