徳島県牟岐町での高校生・大学生向け「災害についてデザインシンキングで考えるワークショップ」
2019.4.20
被災時に必要な能力をデザインシンキングを活用したアクティブラーニングで伸ばすワークショップ。
防災・被災時の能力と2020年の教育改革を機に今後求められる能力との親和性は高いと考えます。被災時に必要な能力は「①イマジネーション能力」「②状況分析・判断・理解能力」「③最適な判断を行い、迅速に行動する能力」だと定義されています。(*1)また、2020年の教育改革で育成を 目指す資質・能力3つの柱は「①学びに向かう力、人間性など」「②思考力・判断力・表現力など」「③知識・技能」です。(*2)
上記のように、防災・被災時の能力と今後教育で求められる能力は重なるところが多く、親和性は高いと考えています。この考えのもと、災害について学ぶ、デザインシンキングを活用したアクティブラーニングを行うことで、防災・被災時の能力を育てつつ、今後の教育改革への適応につなげる能力も育てるワークショップを実施しました。
さまざまな防災に繋がるアイデアをグループでスキット(寸劇)で発表。また、明日から行う防災行動を各個人で宣言。
各チームのアイデアを表現したスキットでは「地震が発生した際に、現在地の津波被害の危険レベルを、信号のように赤・青・黄で示すことでどこまで逃げれば良いかを視覚化する」などの生活者視点で考えられたアイデアが発表されました。
また、明日から行う防災行動として「マンション内で知り合いをつくる」「自分がいまいる場所で地震が起こったらどこにどう逃げるかをシュミレーションする」「いろんな可能性を考えて避難場所をたくさん知っておく」など各個人が宣言を行いました。
高校生でも理解し、実施できるデザインシンキングを活用したアクティブラーニングを意識し、ブレインストーミングやカスターマージャーニーマップなどの各ワークを設計。
▽「デザイン」という概念の伝達
参加者は全員高校生と大学生のため、「デザイン」という概念がまず何かを理解してもらう必要がありました。そこで、パッケージ、食べやすさの構造、販売方法が優れているお菓子をお土産でお持ちし、実際にお菓子が提供するデザイン、ユーザーエクスペリエンスを味わってもらいました。その上で、デザインについて講義を展開し理解を深めました。
▽短時間で理解・体験できるデザインシンキングアプローチ
次に、「あなたが普段、いっつもしていること。」という考えやすいテーマで各チームでブレインストーミングを実施。もっとも多いチームで、130個を超える「普段していること」が表出化。
さらに、実際に震災があった場合をイメージしてもらうため、「震度7の地震が明日の昼の14時に起こったとした場合の行動」をカスタージャーニーマップに記入してもらいました。まずは自分が被災したときを個人個人で制作。次に、70歳のおばあちゃんが被災したときのものをチームでディスカッションしながら制作してもらいました。以下は、70歳のおばあちゃんのカスタマージャーニーマップの例です。
※カスタマージャーニーマップテンプレートはhttp://liskul9.rssing.com/browser.php?indx=53313191&item=84など参照▽災害をよく知るプロフェッショナルからの講義
牟岐町で教育次長を務められる(2019年3月当時)、久米 寧氏に徳島県と牟岐町について、南海トラフ大地震が発生したらどのような被害を受けるのか、また、災害に向き合うマインドセットまで、多岐に渡りお話ししていただきました。
▽アイディエーションとスキット、宣言文
ブレインストーミングとカスタマージャーニマップと、講義で得た気づきから、各個人でアイデアを出し合い、チーム内で発表。その中から一つのアイデアに集約させ、準備時間15分・発表時間2分のスキットで表現してもらいました。最後に、本日のワークショップを行う中で、明日からできると思う防災行動を宣言文としてまとめてもらい、一人ずつ全員に向けて発表してもらいました。以下は宣言文の抜粋です。
TUDでは、本ワークショップのような高校生・大学生向けのデザインシンキング、被災時に必要な能力を育てるワークショップなど、様々なワークショップの設計・実施が可能です。ぜひお問い合わせください。
(*1)内閣府・中央防災会議「防災に関する人材の育成・活用について報告」
(*2)文部科学省・「新しい学習指導要領の考え方」